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49.女装というアート

女装メイクは私にとって日本画制作(私は美術大学の日本画専攻です)となんとなく似ています。お化粧も言い換えれば粉絵と似たようなテクニックです。和紙は肌、墨で描く線は骨格や目・鼻・口・眉などの各パーツ、岩絵具はファンデーションやアイシャドー、膠は化粧水や乳液です。女装アートの難しさはそこに演出(パフォーマンス)と、彫刻の要素(立体的なフォルム)も含まれることです。仕草や言葉使いはまるで舞台に立つ役者のように演じなければなりませんし、ボディーラインの演出は彫刻を作るような感じです。アルテミスの女装は役者である女装子さんとサポートをするスタッフが共に作る総合芸術だと私は思います。

アルテミスにはスタジオ撮影やメイク・ボイスレッスンなど、インドアのサービスも充実していますが、私が特に好きなサービスは女装外出のサービスです。自分が今、女性であることを最も実感できる経験になりますし、「女性らしさ」というものを特に意識しなければなりません。実際に女性スタイルで外出をすることで、日常女性がどんな気持ちで、またどんな事を注意しながら過ごしているのかを男性が女性の立場で体感することができる事も魅力です。男性時には気がつかない様々な一面を発見できることでしょう。

お手伝いをする側がどんなに努力をしても、モデルさんの気持ちがONにならなければ、表面だけ女性らしく作り変えただけにすぎません。例えば、仕草(食べ方や歩き方)や女声に関してはやり方をご説明することは出来ても、実行をするのは女装子さんですから、ご自身で心かげて頂かなければならない部分も多いです。
仕草となると男性らしい動作の癖が現れます。歩き方であれば腕の動きだけでも男女で違いがあります。そういった何気ない動作の一つ一つを確認しながら、その人にあったやり方でご案内しています。女装外出は隅々まで「女性らしさ」の作り方をご案内できるので、大変充実したサービスです。

女性は母や女友達から女性としても嗜みや所作を学びながら育ちます。男性はそういったプロセスを幼少から学ぶ機会がありません。お化粧・動作・服装・マナー。女装には様々なテーマがあります。男性時の厄介なしがらみから一時離れて女性カルチャーを学ぶことは、心と体の癒しにも繋がると思います。
【女装】というアートを共に学び追求できることを幸せに思う私です。
2010年11月1日